Tomo Yamaguchi Tomo Yamaguchi

1. ソーシャルグッドのはじめかた

社会をもっとよりよくしたい

SDGsという言葉が広くメディアで使われるようになりました。また、コロナ禍で多様な方々が困窮したり苦労する状況に対して寄付や支援などをする活動も活発になっています。

いま、多くの方々が社会に目を向ける機会が増えてきたように思います。

「社会をもっとよりよくしたい」

私たちパブリックマインドは、そんな「ソーシャルグッド」を進める人たちを様々な形で応援してきました。

サスティナブルなモノづくりを進める石徹白用品洋品店さん

ひとり親家庭を支え続けるNPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ赤石千衣子さん

壮大な神輿行列の復活で地域を盛り上げる麻布氷川神社さん

鳥取、そしてロンドンで心理療法を中心とした児童精神科医療に取り組む虹の森クリニックの坂野真理さん

ソーシャルグッドの始め方

ソーシャルグッドの始め方にはいろいろあると思います。

① ソーシャルグッドにつながる商品やサービスを購入して応援する

もありますし、

② 活動している団体に寄付をしたり、ボランティアとして参加する

というのもあります。もう一つ選択肢として

③ 自らが主体となってソーシャルグッドの活動を進める

もあると思います。

パブリックマインド、NPO 法人になります

私たちパブリックマインドは、有志による任意団体として活動を続けてきました。しかし、ソーシャルグッドを進める人たちを継続的に応援できるよう、組織づくりを進めることにしました。

はい、パブリックマインドは特定非営利活動法人(以下、NPO法人)になります。

疑問は山積。どうしよう。

大きく言い切ったものの、いざ設立に向けて動き始めるといろんな疑問にぶつかります。

「法人にもいろいろあるけど、どんな法人になるのがいいのかな?」
「社会課題の解決を進める団体にはNPOが多いし、私たちもNPOがいいかな?」
「あれ、NPOってどんな要件が必要なんだっけ。最低で何人必要なの?」
「私たちがやりたい事業はNPOとして認められるのかな?」
「非営利とは言うけど、儲けてはいけないのかな?」

新たな疑問が出るたびに書籍やネットを調べ、有識者の方に教えを請い、模索をしてきました。(今も続いています)

そんな模索も合わせてNPO法人設立の過程を発信していこうと思います。

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2. どんな組織にするか

どんな法人格を選んだらよいか?

社会によいインパクトを与える、社会貢献度の高い「ソーシャルグッド」を実践するとしたら?

日々の生活でソーシャルグッドな商品やサービスを「個人的に購入したり、使ってみる」ことで参加するやり方があります。一番身近で始めやすいやり方です。

でも周りに同じように考えを持っていて、行動を共にできる仲間がいるのなら組織として取り組むやり方もありますね。サークルや同好会などのような「任意団体」としての活動です。

しかし団体としてお金のやり取りが発生することがあるかもしれません。すると銀行口座の開設や様々な契約手続きを行う権利や義務の主体となる「法人格」が必要になります。

では、どんな法人になればよいでしょうか。

① 会社

法人といっても様々な種類があります。

法人としてすぐ思いつくものとして「会社」があります。株式会社の他にも合名・合資・合同とありますが、事業を行って利益を出資者に分配する「営利性」が求められてきます。

最近では国連が定める持続可能な開発目標SDGsという言葉が一般化するなど、営利性を追求しながらも「会社の事業でソーシャルグッドを実現する」ケースも増えているように思います。また、ソーシャルグッドにつながるような環境・社会・ガバナンスの3つの観点で投資を行う「ESG投資」も増えており、「会社」という法人でソーシャルグッドを実現するという選択肢もアリかもしれません。

② 社団法人や財団法人

出資者へ利益を分配する「営利性」が活動のネックと考えるのなら「会社」以外の法人も選択肢になります。

一定の目的で構成員が集まれば「社団法人」、個人や企業から拠出された300万円以上の基本財産があれば、その運用益を事業原資とする「財団法人」になることを選ぶことができます。

登記をすれば「一般社団法人」「一般財団法人」として設立が可能です。特に一般社団法人は設立に必要な人数が2人以上と少なく、手軽に設立できると言えますが税制上の優遇はありません。

そこで学術・芸術・慈善など「公益性のある23事業」を行っていて、第三者委員会による公益性の審査を経て内閣府・都道府県から公益認定を受けると「公益財団法人」「公益社団法人」になれます。
公益認定を受けると、課税対象が収益事業のみになる(公益事業は非課税)という税制上の優遇措置を受けることができます。

公益法人になる - 公益法人について

ちなみに2021年3月現在で法人数は公益財団法人5,594、公益社団法人4,200、一般財団法人7,743、一般社団法人66,940となっています。一般社団法人が圧倒的に多いことがわかります。

JFCWEB | 日本の助成財団の現状 −概況

③ 特定非営利活動法人

会社や社団や財団以外の選択肢が特定非営利活動法人(以下、NPO法人)です。ソーシャルグッドにつながるような市民活動団体の法人格取得を容易にすることを目的に1998年に制定された特定非営利活動促進法。この法律に基づき、国・都道府県に認証を受けることで設立できるのがNPO法人です。

設立に必要なのは国・都道府県による「認証」であって「許可」ではありません。行政庁による内容への介入が行われにくいので、非営利で公益的な活動をする団体が簡便に自由に法人格を取得できるのが特徴です。

認定特定非営利活動法人
さらに特定非営利活動法人を設立後、パブリックサポートテストに適合し、事業運営や情報公開を適正に行うなど一定の条件を満たして所轄庁がお墨付きを与えると「認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)」になることができます。認定NPOになると、寄付者は所得税などの減税を受けることができ、寄付金を大幅に集めやすくなります。収入の多くを寄付に頼ることが多いNPO法人としては非常に大きなメリットです。

認定制度について | NPOホームページ

NPO法人は設立に必要な人数が10人以上と多いですが、設立時に法定費用が掛からず、公益性認定を待たずに税制上の優遇があります。認定NPOになれば寄付を大きく集めることも期待できる法人形態と言えます。


私たちは NPO 法人を選びました。

ソーシャルグッドを仲間と実現するための様々な法人形態について調べてきました。

ここまで挙げてきた様々な法人格を公益性と営利・非営利で整理すると、こんなイメージになります。

 
 

私たちパブリックマインドは、どの法人を選ぶか?

上記のイメージの通り、色々な法人形態があります。合同会社や一般社団法人なども選択されることが多いようです。私たちも様々な角度から議論や検討をしました。

最終的に私たちパブリックマインドは「NPO法人を応援・支援する団体」なので、「自分たちも同じ立場であるNPO法人になって、同じ目線にたって支援させて頂こう」という比較的、単純なモチベーション(動機)でNPO法人になることを決めました。

これからNPO法人を設立する際の手順や書類、様々な課題と解決についてお伝えしていきます。

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3. NPO法人の基本

私たちパブリックマインドは様々な法人格の中から特定非営利活動法人(以下、NPO法人)を選びました。さてNPO法人はどのような組織なのでしょうか?
今回は根拠となる法律などルールについて少し掘り下げてみます。

特定非営利活動促進法が生まれたきっかけ

NPO設立の基本的なルールは特定非営利活動促進法に記されています。この法律が制定されたのは1998年ですが、法整備が進むきっかけは1995年の阪神淡路大震災です。

当時の経緯は、小豆島でガイドツアーなどを進めている特定非営利活動法人DREAM ISLANDさんの解説が詳しいです。

震災後、個人や任意のボランティア団体を含め、延べ100万人を越える人たちが復興のため集まりました。平行して一人一人の活動効果を向上させようとボランティアをコーディネートする市民組織が次々と誕生し、世界中からたくさんの義援金が集まりました。ところが、多くの団体が法人格を持たない任意団体だったため、会計監査に沿った経済支援受けられない。といった障害が発生しました。要するに、お金はあるのに受け皿となる公的な組織がなかったのです。この時、自発的な市民団体の活動を迅速に推進するための新たな組織のあり方や新たな法整備の必要性がクローズアップされました。

まさにこの連載の2回目で記した「いざ手続きやお金のやり取りをするときに法人格が必要になる」という私たちの課題と同じことが起こっていたといえます。

こうした経緯を経て、1998年に特定非営利活動促進法(通称NPO法)が制定されました。

特定非営利活動促進法の目的

第1条にはこのように記されています。

第1条 この法律は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること並びに運営組織及び事業活動が適正であって公益の増進に資する特定非営利活動法人の認定に係る制度を設けること等により、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的とする

阪神淡路大震災で明らかになった「市民活動と組織」の課題を解決すべく、自発的に活動する市民団体を後押しするルールであることが伝わってきます。

20 の特定非営利活動

法律の名前となっている特定非営利活動。第2条では「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするもの」として別表に具体的な20の活動が記されています。

◇第2条別表 特定非営利活動
1.保健、医療又は福祉の増進を図る活動
2.社会教育の推進を図る活動
3.まちづくりの推進を図る活動
4.観光の振興を図る活動
5.農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
6.学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
7.環境の保全を図る活動
8.災害救援活動
9.地域安全活動
10.人権の擁護又は平和の推進を図る活動
11.国際協力の活動
12.男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
13.子どもの健全育成を図る活動
14.情報化社会の発展を図る活動
15.科学技術の振興を図る活動
16.経済活動の活性化を図る活動
17.職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
18.消費者の保護を図る活動
19.前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
20.前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

どの活動の種類の法人が多いのか?

ちなみに、2021年3月段階でNPO法人の数は50898。
それぞれの法人がどの活動を選んでいるのか調べてみるとこんな感じです。

※一つの法人で複数の活動を選ぶことができます

特に多い(20,000を超える)のは、

 
 

1. 保健、医療又は福祉の増進を図る活動2.社会教育の推進を図る活動
3. まちづくりの推進を図る活動
13. 子どもの健全育成を図る活動
19. 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

という傾向も見えてきます。

NPO法人として認証を進める際に定款を作成しますがその中で「目的」「特定非営利活動の種類」「事業」などを記す必要がありますので、よく把握しておきましょう。

NPO 法人になるための条件

また第2条には条件がいくつか記されています。

不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする
営利を目的としないものであること
・宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと
・政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと
・特定の公職(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第三条に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。以下同じ。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするものでないこと

つまり「公益に資する活動が目的」であり、「営利目的ではない」、主たる目的が宗教の教義を広めるものではない、政治上の主義推進や特定候補者を推薦・支持するものではない、といった内容が求められているといえます。

どんな NPO になるのか?

会社をはじめとして、どんな組織でも「目的や活動内容」を記した定款などの書類を作成することと思います。NPO法人も同じで、第2条に記された条件を満たし、第2条別表に記された20の特定非営利活動の中から選びながら目的や活動内容を整理していくことになります。

次回はNPO法人設立に向けた手続きについて記していきます。

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4. NPO法人設立の手順

特定非営利活動法人(以下、NPO法人)は、契約手続きを行う権利や義務の主体となる「法人」の一つであることは、シリーズの2回目でお伝えしました。NPO法人はもちろん会社や一般社団/財団法人などあらゆる法人は、本社所在地や事業の目的などの重要な事項を法務局に登録する「登記」を行います。しかし、NPO法人の場合、この登記の前に所轄庁による「認証」の手続きが必要となります。今回は認証の申請から登記の手前まで、NPO法人設立の具体的な手順を紹介します。

1. 申請の手順

大きな流れは内閣府NPOホームページに紹介されています。

 
 

この通り、都道府県などの所轄庁に設立認証の「申請」を行い、「認証」された後に「登記」をする流れとなります。

2. 申請に必要な書類

所轄庁に設立認証の申請を行いますが、この設立認証の申請に必要な書類は次の10種類です。

(1)定款
(2)役員名簿
(3)役員の就任承諾書及び誓約書の謄本
(4)役員の住所又は居所を証する書面
(5)社員のうち 10 人以上の氏名及び住所又は居所を示した書面
(6)認証要件に適合することを確認したことを示す書面
(7)設立趣旨書
(8)設立についての意思の決定を証する議事録の謄本
(9)設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
(10)設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書

それぞれについて説明します。

(1)定款

組織・活動に関する根本原則を記したもので、NPO法人に限らず会社や一般社団法人など全ての法人で最初に作られるものです。
特定非営利活動促進法の第11条には、絶対的記載事項が挙げられており、それぞれについて記す必要があります。

一 目的
二 名称
三 その行う特定非営利活動の種類及び当該特定非営利活動に係る事業の種類
四 主たる事務所及びその他の事務所の所在地
五 社員の資格の得喪に関する事項
六 役員に関する事項
七 会議に関する事項
八 資産に関する事項
九 会計に関する事項
十 事業年度
十一 その他の事業を行う場合には、その種類その他当該その他の事業に関する事項
十二 解散に関する事項
十三 定款の変更に関する事項
十四 公告の方法
十五 設立当初の役員

(2)役員名簿

NPO法人における役員とは理事監事のことであり、理事3名以上、監事は1名以上、合計4名以上の役員が必要となります。
理事は法人の委任を受けて業務執行を担い、監事は理事の業務執行や財産の状況が適正化チェックする役割を担います。この役員名簿には「役員の氏名及び住所又は居所並びに各役員についての報酬の有無」を記す必要があります。

(3)役員の就任承諾書及び誓約書の謄本

名簿に記された理事・監事ら役員は、自身が就任を承諾・誓約した書面を作成する必要があります。

(4)役員の住所又は居所を証する書面

名簿に記された理事・監事ら役員の「住民票の写し」のことです。

 (5)社員のうち 10 人以上の氏名及び住所又は居所を示した書面

社員とは役員以外にNPO法人を構成する人のことです。
社員はNPO法人の最高意思決定機関となる総会での議決権を持ち、定款で定められた重要事項の決定に関与できます。NPO法上では「社員」と呼びますが、実務的には「正会員」などと呼ぶケースも多いようです。
最低限必要な社員数が2人の一般社団法人と比べてNPO法人の10人は多く、設立のハードルは高いです。しかし「公益の増進に寄与する」という法の目的に鑑みれば、最初から事業に賛同する仲間は多いほうが良いといえます。

(6)認証要件に適合することを確認したことを示す書面

特定非営利活動促進法に記されている「宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと」、「特定の公職の候補者、公職者、政党の推薦・支持・反対を目的としないこと」「暴力団でないこと」、「暴力団又は暴力団の構成員等の統制の下にある団体でないこと」について確認する書面です。

(7)設立趣旨書

法人設立の趣旨に関する総括的な説明資料です。設立の「趣旨」と「申請に至るまでの過程」について、第三者となる市民にわかりやすく、具体的・簡潔な表現が求められます。

(8)設立についての意思の決定を証する議事録の謄本

役員、社員らが参加したNPO法人設立総会を開き、その議事録の写しの提出が求められます。
設立総会では会議の議長を選任した後、設立趣意書や定款、設立当初の財産や初年度翌年度の事業計画と活動予算、認証要件に適合することの確認、理事や監事の役員選任、設立代表者の選任について決議をします。議事録には選任した議事録署名人の署名・押印が求められます。

(9)設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書

定款に定めた事業の具体的な計画書です。それぞれの事業について、具体的内容と実施予定時期や場所、その事業の従事者および受益対象者の人数、支出の見込額まで記していきます。設立初年度と翌年度の2年度分の計画書が求められます。

(10)設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書

活動を実施するにあたっての予算書です。会費や寄付金、事業収益などの収入見込に対し、事業に掛かる費用や管理費などの支出見込などを積み上げます。設立初年度と翌年度の2年度分の計画書が求められます。

私たちもこれらの申請書類を初めて作成しました。各都道府県のホームページには様式・書式や具体的な記載例も合わせた説明が記されていて参考になります。


例えば 東京都の申請様式・書式のページ

例えば 福島県の記入例のページ

3. 認証の過程で行われる「縦覧」とは

申請するNPO法人としては、所轄庁に「設立承認の申請」を出した後は、所轄庁に認証・不認証の判断をしてもらい、認証後に「登記」するという手順です。実はこの認証の過程で市民による縦覧が行われています。

 
 

そうなんです。市民がインターネットを通じて設立認証申請中のNPO法人の情報を見ることができるのです。縦覧できるのは次の内容です。

【公告事項】
1.申請年月日
2.NPO 法人の名称
3.代表者氏名
4.主たる事務所の所在地
5.定款に記載された目的

【申請書類の一部】
1.定款
2.役員名簿
3.設立趣旨書
4.設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
5.設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書


4. NPO法人の認証書類は所轄庁(都道府県など)のホームページで見られます。

所轄庁(都道府県など)のホームページで、NPO法人の認証書類を見ることができます。

縦覧期間は1ヶ月。私たちパブリックマインドは7月16日に東京都に設立認証の申請をしました。1か月後の8月16日まで東京都生活文化局の「設立認証申請法人」のページで縦覧する(見る)ことができます。

設立認証申請法人|東京都生活文化局

(申請年月日の新しい順に記されているので、縦覧期間内であれば下段にスクロールして7月16日のところにパブリックマインドがあるはずです。)

残念ながら縦覧期間を過ぎてしまった方々、こんな感じで掲載されていました。

 
 

5. 認証されたら登記へ

晴れて所轄庁から認証されたら、法務局で登記を行い、設立手続きは完了となります。

「申請して認証してもらい、登記する」

言葉にすると簡単ですが、この過程にはいろいろな手続きがありました。次回は私たちがこの認証を進めるにあたって直面した課題や苦労も併せてお伝えしていきます。

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5. 設立総会

今回はNPO法人設立にあたっての重要なポイントとなる設立総会についてです。

東京都からの指摘「設立総会を済ませてください」

NPO法人設立に向けて手順を理解し、必要な書類などを着々と準備してきました。概ね書類が整いつつあるタイミングで、そろそろ所轄庁に相談に行くことにしました。

私たちは東京都内に設立することを決めていたので、所轄庁は東京都になります。

東京都の生活文化局のホームページには手続きの流れが次のように記されています。

手続きの流れ|東京都生活文化局

個別相談や説明会についてはこちらに紹介があります。

NPO説明会・個別相談|東京都生活文化局

東京都では「設立説明会:「設立申請直前説明会」など様々なフォローがあります。また、個別相談は曜日と時間が限られているので注意が必要です。(毎週月、木、金で各日1時間の相談が3枠)

私たちは自分たちで調べて準備を進めていたので、説明会ではなく「個別相談」に行こうと電話で問い合わせをしました。
その時の対話の一部です。

担当者「必要書類はすべて整いましたか」
P M「設立についての意思の決定を証する議事録の謄本はまだです」
担当者「設立総会はまだ行っていないのですか?」
P M「まだです」
担当者「設立総会を行い、その議事録をつくってから相談にお越しください」

ということで、設立総会も進めることにしました。

NPO法人設立に必要な10人以上の仲間

特定非営利活動促進法によると、NPO法人には役員となる理事3名以上、監事1名以上の他に、社員(正会員)10人以上必要とされています。
一部は兼務も可能なので、最低限の構成はこのようになります。

 
 

このようにNPOをつくるなら最低でも10人以上の仲間が必要となります。

NPO法人化をするときは、いろいろなハードルがあります。多くの方々にとって一番のハードルは、実はおカネでもなく時間や手間でもなく、この「10人の仲間たちを集めること」になるかもしれません。

しかし、幸いなことに私たちパブリックマインドにとってこのハードルはそれほど大きくありませんでした。

私たちパブリックマインドは昨年(2020年)春から任意団体としてソーシャルグッドを後押しすべく活動を続けてきました。

約1年間、活動の中心を担ったのも、様々なカタチで支えてくれたのも学生時代から続く20年来の仲間たちでした。

1年間、SNS等を通じて情報発信を続けてきたこともあり、いざNPO法人化に向けて「理事になってほしい」「社員(正会員)になってほしい」と声をかけたところ、皆から快い返事をいただくことができ「NPO法人設立に必要な10人以上の仲間」のハードルをクリアすることができました。

世界中にいる社員(正会員)を集めた設立総会の進め方

役員となる理事や監事の多くは東京都内にいますが、社員(正会員)の一部は海外にいます。コロナ禍ということもありますが、全員が同じ場所に集まることは困難のため、オンラインでの開催となりました。

内閣府NPOホームページにおいても、「総会開催の省略はできないが、IT・ネットワーク技術を活用した会議による開催は認められる」旨の開設が記されています。

新型コロナウイルス感染拡大に係るNPO法Q&A | NPOホームページ

設立総会の議題・審議事項

議事次第・審議事項についてはウェブ検索で様々なフォームや内容が出てきますが、私たちの場合は次のように進めました。

審議事項
(1) 議長選任の件
(2) 議事録署名人の選任の件
(3) 設立趣旨に関する件
(4) 確認書について
(5) 定款に関する件
(6) 設立当初の財産に関する件
(7) 令和3年度及び令和4年度の事業計画並びに予算について
(8) 役員等に関する件
(9) 入会金及び会費について
(10) 設立代表者の選任について
(11) 事務所の所在地について
(12) 申請に際しての軽微な変更について

設立趣意書、定款、事業計画、予算などほとんどの内容が設立認証申請で作成してきた書類であり、所轄庁に認証してもらう手前で社員(正会員)の方々と合意するわけです。

時差も考慮して週末の午後に行った設立総会の様子はこんな感じでした。

 
 

設立総会に必要な審議事項(1)~(12)について、それぞれ必要書類を共有しながら承認いただいたので約1時間掛かりました。この審議事項(1)~(12)だけで終わってもよいところですが、社員(正会員)の方々には引き続き極力していただくことになります。そこで1年間の活動報告や、これからの活動計画もビジュアルに説明しながら意見交換をしました。オンラインではありますが、濃密なディスカッションが多くて充実した時間になったと思います。


いよいよ設立総会の議事録も完成し、正式に書類提出に動き出しました。

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6. 事務所の探し方

オンラインでの活動が中心の Public Mind

もともと、私たち Public Mind の活動はほとんどオンラインで完結していました。自宅などからインターネットに接続してオンラインミーティングを行い、必要な作業内容はオンラインサーバーに共有し、適宜オンラインチャットでコミュニケーションを取りながら進めていきました。活動を進めるうえで「リアルの事務所」は必ずしも必要はありません。

しかし、NPO法人設立認証と登記には事務所が必要です。所在地に近い法務局で登記を行いますし、事務所の所在する自治体に、法人住民税などの納税も行うことになります。現行法においては必ずどこかに事務所を構えなければなりません。

登記に必要な事務所をどこにするか

では、どこに事務所を置くか。

例えば自治体によってはNPOに対する補助金提供や連携協働などの施策を行っているケースがあります。こうした施策も見ながら自分たちの組織にも、その地域となる自治体にとっても相互に利する場所に事務所を構えるのもよいかもしれません。

内閣府NPOホームページ 自治体ごとのNPO施策情報

もちろん、実務を考えれば活動しやすい場所のほうがよいです。私たち理事の多くは都内近郊に在住していることを考えると東京都内がよさそうです。

そこで、都内で事務所を探していくことにしました。

選択肢① 自宅を事務所に

理事の自宅を事務所にしてもよいかもしれません。
現状の活動内容を考えれば、必ずしも店舗が必要ではなく、商品や在庫が発生するわけでもないので、初期費用を抑える上で自宅を事務所にすることも可能です。

しかし、登記をはじめ法人事務所の情報は公表されることになりプライバシー上の問題があります。

自宅ではなく別の場所で事務所を構えられないか模索を始めました。

選択肢② シェアオフィス・コワーキングスペース

最近は、働き方改革や新型コロナ感染拡大もあってテレワークが急速に普及してきました。大手企業の一部は一等地のオフィスをやめて、従業員が住む街の近くなど点在するシェアオフィス・コワーキングスペースを活用するケースも増えてきたように思います。

例えばこんなイメージ。(フリー素材のぱくたそから)

 
 

「優雅にコーヒーを飲みながら、周囲の方々と空間だけでなく情報等もシェアしながら、クリエイティブ、イノベイティブに活動をしている感じ」

素敵なイメージがどんどん湧いてきます。

「シェアオフィス、カッコいいし、いいかもしれないね」

私たちも妄想ですごく盛り上がりました。

しかし、いまのところ私たちの活動の多くはオンラインで完結しています。周囲の方々とのコミュニケーションは素敵ですが、必ずしもこうした「コワーキングのスペース(共用スペース)」が必要ではありません。

何より、こうした共用スペースの充実したオフィスは、相応に月額費用も高くなります。例えば外資系のシェアオフィスだと、法人登記可能な利用形態で月額が約6万円でした。私たちの当面の事業規模や活動スタイルを考えると、少し背伸びし過ぎかもしれません。

そこで

「お財布のことを考えながら選んでみよう」

と心に決めて、選択の幅を広げることにしました。

選択肢③ 自治体が運営するインキュベーション施設

次に調べたのが、「自治体が運営するインキュベーション施設」でした。
シェアオフィスやコワーキングスペースのように、共用スペースが充実しているけど、自治体が運営していれば低額になるのではないか、という読みがありました。

例えば東京都の場合、80を超える東京都認定のインキュベーション施設があります。

認定インキュベーション施設|インキュベーションオフィス

たしかに外資系のシェアオフィスなどと比べればかなり費用が抑えられていましたが、私たちの事業規模からすると少し高い。

「やっぱりもう少し安いほうがいいよね」

とさらに選択の幅を広げました。

選択肢④ バーチャルオフィス・レンタルオフィス

さらに調べたのが「バーチャルオフィス・レンタルオフィス」でした。

「法人登記に必要な住所さえあればよい」

と割り切って、実際のオフィス空間はほとんどない「バーチャル」なオフィス形態です。

例えば私たちが実際に行ってみたバーチャルオフィスはこんな感じ。

 
 

シェアオフィス・コワーキングスペースのような共用スペースは一切なく、予約制で利用できる会議スペースの部屋がただ並んでいるイメージです。ビルの入り口には、共通の郵便受けがあるので、必要な時には受け取れるようです。

検索しながら比較検討した結果がこちら。

 
 

月額は最安で1,650円のところから数千円まで。ただし郵便受取、電話転送などの付属サービスなども合わせて費用を考える必要がありそうです。

名刺などに「都内の一等地の事務所」を書ける

ということを考えれば、有望な選択肢かもしれません。

最終的には長年の御縁で事務所を選びました。

選択の幅を拡げながら、様々な事務所を探してきました。金銭的に余裕があれば、選択肢②シェアオフィスやコワーキングスペースはとっても魅力出来でしたが、やはり無い袖は振れません。

実は調査と並行して、人のつながり・コネクションも使いながら事務所探しを続けていました。最終的には、私たちの学生時代からの御縁を通じて、都内の事務所を間借りさせていただくことができました。

ようやく法人らしくなってきました。

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