• Daisuke Sato

4. NPO法人設立の手順

特定非営利活動法人(以下、NPO法人)は、契約手続きを行う権利や義務の主体となる「法人」の一つであることは、シリーズの2回目でお伝えしました。NPO法人はもちろん会社や一般社団/財団法人などあらゆる法人は、本社所在地や事業の目的などの重要な事項を法務局に登録する「登記」を行います。しかし、NPO法人の場合、この登記の前に所轄庁による「認証」の手続きが必要となります。今回は認証の申請から登記の手前まで、NPO法人設立の具体的な手順を紹介します。 1. 申請の手順

大きな流れは内閣府NPOホームページに紹介されています。



この通り、都道府県などの所轄庁に設立認証の「申請」を行い、「認証」された後に「登記」をする流れとなります。 2. 申請に必要な書類

所轄庁に設立認証の申請を行いますが、この設立認証の申請に必要な書類は次の10種類です。

(1)定款 (2)役員名簿 (3)役員の就任承諾書及び誓約書の謄本 (4)役員の住所又は居所を証する書面 (5)社員のうち 10 人以上の氏名及び住所又は居所を示した書面 (6)認証要件に適合することを確認したことを示す書面 (7)設立趣旨書 (8)設立についての意思の決定を証する議事録の謄本 (9)設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書 (10)設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書

それぞれについて説明します。

(1)定款

組織・活動に関する根本原則を記したもので、NPO法人に限らず会社や一般社団法人など全ての法人で最初に作られるものです。 特定非営利活動促進法の第11条には、絶対的記載事項が挙げられており、それぞれについて記す必要があります。

一 目的 二 名称 三 その行う特定非営利活動の種類及び当該特定非営利活動に係る事業の種類 四 主たる事務所及びその他の事務所の所在地 五 社員の資格の得喪に関する事項 六 役員に関する事項 七 会議に関する事項 八 資産に関する事項 九 会計に関する事項 十 事業年度 十一 その他の事業を行う場合には、その種類その他当該その他の事業に関する事項 十二 解散に関する事項 十三 定款の変更に関する事項 十四 公告の方法 十五 設立当初の役員

(2)役員名簿

NPO法人における役員とは理事監事のことであり、理事3名以上、監事は1名以上、合計4名以上の役員が必要となります。 理事は法人の委任を受けて業務執行を担い、監事は理事の業務執行や財産の状況が適正化チェックする役割を担います。この役員名簿には「役員の氏名及び住所又は居所並びに各役員についての報酬の有無」を記す必要があります。

(3)役員の就任承諾書及び誓約書の謄本

名簿に記された理事・監事ら役員は、自身が就任を承諾・誓約した書面を作成する必要があります。

(4)役員の住所又は居所を証する書面

名簿に記された理事・監事ら役員の「住民票の写し」のことです。

(5)社員のうち 10 人以上の氏名及び住所又は居所を示した書面

社員とは役員以外にNPO法人を構成する人のことです。 社員はNPO法人の最高意思決定機関となる総会での議決権を持ち、定款で定められた重要事項の決定に関与できます。NPO法上では「社員」と呼びますが、実務的には「正会員」などと呼ぶケースも多いようです。 最低限必要な社員数が2人の一般社団法人と比べてNPO法人の10人は多く、設立のハードルは高いです。しかし「公益の増進に寄与する」という法の目的に鑑みれば、最初から事業に賛同する仲間は多いほうが良いといえます。

(6)認証要件に適合することを確認したことを示す書面

特定非営利活動促進法に記されている「宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと」、「特定の公職の候補者、公職者、政党の推薦・支持・反対を目的としないこと」「暴力団でないこと」、「暴力団又は暴力団の構成員等の統制の下にある団体でないこと」について確認する書面です。

(7)設立趣旨書

法人設立の趣旨に関する総括的な説明資料です。設立の「趣旨」と「申請に至るまでの過程」について、第三者となる市民にわかりやすく、具体的・簡潔な表現が求められます。

(8)設立についての意思の決定を証する議事録の謄本

役員、社員らが参加したNPO法人設立総会を開き、その議事録の写しの提出が求められます。 設立総会では会議の議長を選任した後、設立趣意書や定款、設立当初の財産や初年度翌年度の事業計画と活動予算、認証要件に適合することの確認、理事や監事の役員選任、設立代表者の選任について決議をします。議事録には選任した議事録署名人の署名・押印が求められます。

(9)設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書

定款に定めた事業の具体的な計画書です。それぞれの事業について、具体的内容と実施予定時期や場所、その事業の従事者および受益対象者の人数、支出の見込額まで記していきます。設立初年度と翌年度の2年度分の計画書が求められます。

(10)設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書

活動を実施するにあたっての予算書です。会費や寄付金、事業収益などの収入見込に対し、事業に掛かる費用や管理費などの支出見込などを積み上げます。設立初年度と翌年度の2年度分の計画書が求められます。 私たちもこれらの申請書類を初めて作成しました。各都道府県のホームページには様式・書式や具体的な記載例も合わせた説明が記されていて参考になります。 例えば 東京都の申請様式・書式のページ 例えば 福島県の記入例のページ 3. 認証の過程で行われる「縦覧」とは

申請するNPO法人としては、所轄庁に「設立承認の申請」を出した後は、所轄庁に認証・不認証の判断をしてもらい、認証後に「登記」するという手順です。実はこの認証の過程で市民による縦覧が行われています。

そうなんです。市民がインターネットを通じて設立認証申請中のNPO法人の情報を見ることができるのです。縦覧できるのは次の内容です。

【公告事項】 1.申請年月日 2.NPO 法人の名称 3.代表者氏名 4.主たる事務所の所在地 5.定款に記載された目的

【申請書類の一部】 1.定款 2.役員名簿 3.設立趣旨書 4.設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書 5.設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書

4. NPO法人の認証書類は所轄庁(都道府県など)のホームページで見られます。

所轄庁(都道府県など)のホームページで、NPO法人の認証書類を見ることができます。 縦覧期間は1ヶ月。私たちパブリックマインドは7月16日に東京都に設立認証の申請をしました。1か月後の8月16日まで東京都生活文化局の「設立認証申請法人」のページで縦覧する(見る)ことができます。 設立認証申請法人|東京都生活文化局 (申請年月日の新しい順に記されているので、縦覧期間内であれば下段にスクロールして7月16日のところにパブリックマインドがあるはずです。) 残念ながら縦覧期間を過ぎてしまった方々、こんな感じで掲載されていました。


5. 認証されたら登記へ

晴れて所轄庁から認証されたら、法務局で登記を行い、設立手続きは完了となります。 「申請して認証してもらい、登記する」 言葉にすると簡単ですが、この過程にはいろいろな手続きがありました。次回は私たちがこの認証を進めるにあたって直面した課題や苦労も併せてお伝えしていきます。

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